化学者のデザインしたコーヒーメーカー CHEMEX

2010年 12月 20日12:42 pm @ 小川 裕子

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化学者のデザインしたコーヒーメーカー CHEMEX

CHEMEXは1941年に発売された超ロングセラー商品なので、記事にするのもいまさら感があるのですが、最近購入して使ってみると、とてもすばらしい製品だったので紹介しようと思います。

CHEMEXのコーヒーメーカーの歴史CHEMEXウェブサイトの英文を乱訳)
CHEMEXのコーヒーメーカーは、1941年にピーター・シュラムボーム博士に考案されました。化学博士だったので、実験器具やろ過・抽出技法についての知識を持っていました、彼はその知識をコーヒーメーカーに活かしました。実験室のガラス漏斗とフラスコををコーヒーメーカー用に改造していきます。まず漏斗に「注ぎ口」を追加しました。そして、容器におちる液体に置き換えられる空気が、漏斗の上のフィルターペーパーを通過しやすいように「空気の通り道」を設けました。またフラスコには泡のような突起物を追加し(CHEMEXのユーザーから「おへそ」とよばれています)、これは計りの目安で持ち手の下の部分の1/2の量を示しています。そして漏斗とフラスコを一体化させました。最後に木の持ち手を追加してこれをCHEMEXと命名しました。コーヒーを淹れるのに必要なものは、CHEMEXとコーヒーとお湯とフィルターだけです。現在、CHEMEXはニューヨーク近代美術館、フィラデルフィア美術館、スミソニアン博物館のパーマネントコレクションに選定されています。

おもしろいなあと思うのが、化学者が実験器具に詳しいのはあたりまえなのですが、その知識を他のものに応用させてしまおうという発想がおもしろい。ピーター・シュラムボーム博士は発明家だったようで、 約3000もの特許を持っているそうです。そしていちばんの魅力はデザイン面と機能面のスマートな融合だと思います。漏斗とフラスコが一体となった無駄のない形と、熱くなったガラスを持てるようにするための木の枠とそれを固定する皮紐。ガラスのモダンで冷たい素材と木や皮といったナチュラルでぬくもりのある素材のコントラストも素敵。形ひとつひとつに理由がある気持ちのよい製品です。
日本を代表するプロダクトデザイナーの柳宗理さんもこの製品の愛用者です。柳さんのエッセイによると、お父様の宗悦さんがイームズの家を訪れたときに、イームズから Chemexで淹れたコーヒーをごちそうになり、それに感動してアメリカから持ち帰ったそうです。それを宗理さんが受け継いで今も使っていらっしゃるということ。

ちなみに機械でつくったバージョンと職人さんが手吹きでつくったバージョンがあります。
MOMAにコレクションされているのは手吹きの方。微妙に形が違います。人の手でしか作りだせない形もあるようです。
人々を幸せにする技術の使い道の提案と、デザインと技術のスマートな融合を私たちも目指していきたいものです。もちろん味もすばらしかったです。コーヒーど素人の私でもおいしく淹れられました!

蒸らしが大切

一滴ずつポタポタ落ちていきます。ちなみにカップは柳宗理さんのデザイン

完成。元はフラスコ。色味も楽しめます。