ル・コルビュジエを巡る旅 [5]

太陽が輝くおおらかな南フランスを離れて、帰国のためにパリへ移動。日本に戻るフライトまでの空いた時間に、コルビュジエの代表作「サヴォア邸」を訪れることにしました。
2009年8月25日
【3日目】 サヴォア邸(パリ)


Address : 82 Rue de Villiers, 78300 Poissy, France‎ - 01 39 65 01 06‎   



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サヴォア邸は、コルビュジエが保険会社を経営する資産家サヴォワ家の別荘として設計し、1931年に完成した住宅建築です。

建物はパリ郊外のPoissyにあり、電車とバスを乗り継いで行きます。
現在、サヴォア邸は文化省の管轄下で管理されており、一般公開されています。

バス停を降りたらサヴォア邸の入口です。


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入り口にある案内板

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サヴォア邸に続く小さな林

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サヴォア邸外観

林を抜けると、あの有名な外観が現れます。
サヴォア邸の施主であるピエール・サヴォア氏からのオーダーは、「自然をそのまま残し、その中にオブジェのように建っている家」だったそうです。
その言葉通り、細いピロティに支えられた長方形のブロックが幾何学的な美しさをかもし出していました。

しかし室内の展示資料を読むと、サヴォア邸は浸水が発生するなど、あまり住み心地が良くなかったようで、ほどなくして使われなくなり、戦中はドイツ軍に徴用されたり、学校建設のために取り壊されそうになったりと、住宅としてはあまり重宝されなかったようです。
その後、数回に渡る大きな修復工事を経て、今は歴史遺産として国の管轄下に置かれています。

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ピロティ

1階には車3台分のガレージがあり、ピロティを通ってそのままガレージに車を入れることができます。ちなみに中央にある局面のガラス壁は、リムジンがハンドルをきりやすい径に合わせられているそうです。

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リビングルーム

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屋外と室内がゆるやかにつながっているようなテラス

リビングルームと大きなガラス一枚隔てた南側には、テラスがあります。
テラスなので外にあるのですが、壁とリビングルームの窓と同じ形のスリットがあります。完全に外という感じではなく、半外という印象です。
これにより内と外の区別がゆるやかになっているように思います。

リビングルームには、コルビュジエとシャルロット・ペリアンがデザインした椅子が置かれていました。それらはすべてスチールパイプの構造体でできています。当時(1920年代後半)に発達した工業技術により、はじめて可能になったデザインだったそうです。

鉄筋コンクリートにより可能になったコルビュジェの建築と同様、技術の発達により可能になった形の追求がインテリアからも垣間見ることができます。

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寝室の横には浴室。写真の奥に見えるカウチ。思わず寝転んでみたくなる

壁やドアの色などは、修復の度に再塗装などが行われたようですが、今は当時の写真(白黒写真から明度やコントラストを割り出す)や、工事会社の資料、壁の調査により、竣工当時の色が復元されているそうです。鮮やかなブルーと淡いピンクが印象的です。

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過去の資料と調査で竣工当時の忠実に色を復元している

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ロビー中央に地下から延びるらせん階段

1階と2階はゆるやかなスロープでつながっています。コルビュジェは著書『全作品集』の中で、スロープ(勾配通路)についてこのように話しています。
「階段を登るのとはまったく違った感覚を楽しむことができる。階段は二つのフロアを分断するものだが、勾配通路は二つをつなぐものだ」
確かにこれが階段だったら、家の中を歩いていても、目に入る風景が閉鎖的でつまらないものになってしまいそうです。

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1階と2階をつなぐスロープ

サヴォア邸内には資料を展示した部屋があり、
そこには世界各国の人びとが書き込んだゲストノートもありました。私が訪れたこの日も日本の建築学生による書き込みが二つあり、そこには心新たに勉学に励む決意が書かれていました。

今回の旅で訪れた建築のほかにも、過去にスイスのロンシャン教会、パリのラロッシュ・ジャンヌレ邸に訪れたことがあります。

私は、コルビュジエ建築にふれるたびに生活の質について考えさせられます。人が快適に暮らすために必要なものとは何なのか。
生活が満たされていないと感じる人の多くが、もの足りなさを補おうと、たくさんの物を集めて満たそうとしています。
しかし、それではけっして満たされることはないのだろうと思います。

コルビュジエは、1920年代に書いた著書『建築をめざして』の中で「住宅は住むための機械である」という言葉を残しています。
この本を読んでいないので、その印象的な言葉の真意は定かではありませんが、「快適な生活を生み出すために設計された住むための機械」、そんな視点で住宅を見ると施主や設計者の快適さの捉え方が透けて見えてくるかもしれません。

そのなかでもコルビュジエの住宅からは、光、自然、身の丈にあった空間や什器、 家族、友人と過ごす豊かな時間が伝わってくるように感じます。


《サヴォア邸までの行き方》
パリ市内 
    ↓ RER(A5 Poissu行き/約45分)
Poissy
    ↓  バス( 50番、La Coudraie行き /約10分)
Lycée Le Corbuiser  


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