大阪のオフィスビルが立ち並ぶ大通りを一歩入れば、国立国際美術館やgraf、公園もおしゃれなカフェもある、そんなエリアにAD&A galleryはある。ここは大阪の老舗ギャラリーではあるが、2007年よりオーナーが替わり、現在は20代の小西小多郎さんが取り仕切っている。広く多目的に使える空間を活かし、展覧会のみならず、ワークショップやライブ、「BREAKFAST FAST」という一風変わったイベントも開催している。 アート好きでもちょっと敷居の高いギャラリー、少し謎めいた仕事の裏側を知りたくて小西さんに話をうかがった。(2009年5月にインタビュー収録を実施)
#Fg:AD&A gallery(以下、AD&A)で開催中の企画展「cooing」(※2009年5月13日で展示終了)では、小西さんが直接声をかけて出展作家を募ったそうですね。
小西:はい。正確には僕ともう一人のスタッフで企画した展覧会になります。「cooing」は、今年で2回目です。僕が関西の卒業制作展を巡るなかで気になった人に声をかけて、今回はその中から5人に展示をしてもらいました。 彼らが扱うメディアはそれぞれ異なりますが、共通して言えるのは作家のキャラクターについていろいろと思いを巡らすことのできる作品だったということです。言い換えれば作品に個性が強く出ていた、という。 まあ、ありきたりな理由ですが、そういった共通点があります。cooingはこれからもAD&Aとして続けていきたい企画展です。
#Fg:こういった企画展は年何回と決まっているのですか?
小西: 計画的に実施している企画展は年に2〜3本くらいかな? あとはレンタルが入らずにスペースが空いてしまいそうな期間が出てくれば状況に応じて、こちらから作家さんにお声がけをして開催する企画展もあります。
#Fg:企画展だとAD&AのPRになるような、AD&Aではこういう作品をおもしろいと思っていると伝わるように企画しているのでしょうか?
小西: そう。それと個人的に「この作家の作品が観たい」っていうのが大きい。大阪だとあまり展覧会を行う機会のない人を呼んでやってみるとか。まだ僕が20代ということで、求められている役割というものがなんとなくあるような気がして、同世代のアーティストを取り上げていきたいと思ってる。だからアーティストを選ぶ時は、自分がすごく好きなアーティストであることと、世代的にも近い人を選ぼうとしています。
とくに僕らの世代で場所を持っている人ってそんなにいないし、ライブをやりたいとかワークショップをやりたいという人がいたら、極力受け入れられるものは受け入れていこうと思っています。 今はギャラリーという場所を持っていて、そういう希望を叶えることもできるから。みんながこの場所を勝手にどんどん使っていってくれたらいいと思ってます。

初めて観た時に思わず笑ってしまい、その世界に引き込まれた作品です。 2つの映像を切り替え、絶妙の『間』を作って見せています。そんな計算のされた神経質なシステムの上でこんな滑稽なものを上映しているということに心を惹かれました(小西)
#Fg:ギャラリーを運営するなかで印象的なエピソードはありますか?
小西: ギャラリーってどんな人も受け入れる場所だから。普段、自分が関わらないような、思いもよらない人が来たりして。それが思いのほかおもしろい人だったりとか。まあ、そんな出会いは年に2回くらいですけど(笑)。
#Fg:その出会いがきっかけで展覧会につながったりもするのですか?
小西: 今、不定期で「BREAKFAST FAST」っていう朝ご飯イベントを行っていて、それはアーティストの梅田哲也さんが中心になってやってます。
前まえから梅田さんのことは知っていて、古館健くんにAD&Aでライブをやってもらう時に、知り合いだった梅田さんを呼んでもらったんです。そのパフォーマンスがすごくよかった。
ライブ後に梅田さんと話して、そこから展覧会をしようということになって、2008年8月にグループ展「RELAY」で実現することができました。
その時に梅田さんと「ギャラリーが朝閉まっているのはもったいない」という話になり、朝ご飯を食べながらみんなで音楽を聞くイベントをやろうってことではじまったのが「BREAKFAST FAST」です。
#Fg:でもなんで「朝ご飯 + ライブ」という企画になったんですか?
小西:このイベントのきっかけとしては自分たちの問題意識からきています。ミュージシャンって生活リズムの変な人が多い。活動時間が夜中心だからなんだけど、いつも昼くらいに起きて、あっという間に日が沈んでしまう。そんなモグラみたいな生活をしている人が多い。
もし、朝にイベントを行ったなら終わるのもお昼くらいで、その後に映画を見に行ったりもできる。一日を長く感じられる日をつくりたいねという話になったわけです。
朝のラジオ体操みたいな、みんなのモチベーションとなるイベントがあれば、がんばって朝も起きられるんじゃないかと。
まず、みんなで朝ご飯を食べるっていうことありきで、その時に音楽が流れてて、プレゼンテーションもあるとおもしろいだろうということで、だんだんと企画がかたまってきました。
梅田さんと僕の周りでご飯をつくれる人や演奏ができる人、発表できる人をまずは探してきて、2008年10月12日に第一回目の「BREAKFAST FAST」を開催しました。
このイベントは公募制なので、面白い企画であればミュージシャンに限らず出演してもらってます。
ご飯をつくってくれる人も毎回さまざまです。
#Fg:「BREAKFAST FAST」の評判はいかがですか?
小西:これはめちゃくちゃ評判がいいです。参加者は回を重ねるごとに増えているし、イベントを楽しみにしてくれてるみたいです。僕も毎回、楽しんでます。場をつくるのに食の力は偉大だなと思います、ほんとに。
変な話、ごはんさえおいしかったら場はまとまるし(笑)。
普通のギャラリーではやらないようなことをこれからもやっていきたいと思っています。
#Fg:「BREAKFAST FAST」も含め、AD&Aでは、ライブやワークショップも積極的に行ってますよね?
小西:そうですね。スタート当初からオルタナティブスペースを目指していましたから。
ギャラリーなので展示がメインになりますが、ライブやワークショップも企画さえあればなるべく開催していきたいと思っています。
通常の展示だけだと作品に興味がある人やアーティストの知人など、ギャラリーを訪れる人が限られますが、ライブやワークショップを行うと美術とは違うジャンルの人が参加してくれる。
それに一度ギャラリーの扉をくぐれば、二回目からはずっと入りやすくなりますし。
#Fg:確かにギャラリーの扉を開くのにはすごい勇気がいります…。
小西:本当に。目に見えないプレッシャーがすごいあるでしょ。
実はオーナーになることを決心するのには建物の影響が大きかったんです。初めてAD&Aに来た時、扉が開けやすいと感じたのが決め手です。天井が高いし、吹き抜けになっているから、ここだったら働けると思いました。
(つづく)
[Infomation]
AD&A gallery
5月21日(金)より6月2日(水)まで北海道出身の画家藤谷康晴による大阪初の個展「超空間-Full Contact-」を開催。
問い合わせ:info@adanda.jp TEL 06-6443-3300 http://www.adanda.jp/







2010年 05月 27日 → 10:38 pm @ 森岡 麻紗子
0