校正者という職業

2010年 05月 21日2:27 pm @ 森岡 麻紗子

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校正者という職業

仕事の関係上、切っても切れないのが校正作業なのですが、はっきり言って苦手です。誤字脱字のチェックはともかく、言葉との向き合ううちに自分がどの視点に立っているのか見失いがち。読者へのわかりやすさと著者の創造性とのバランス‥‥などなど。

自分と言葉が向かい合うためにちょうどいい位置を探すべく、『校正のこころ』(大西寿男著、創元社)という一冊の本を手に取りました。この本は校正者である著者が、校正作業に関する歴史や長年の経験にもとづく心構えなどをまとめています。そのため、実践技術を習得したい方にはあまりオススメできません。

文章をチェックする立場にある方が、言葉との向き合い方に悩んだ時に読む本だと思います。(そういった需要がどれくらいあるのかはわかりませんが‥‥)

また、校正者が書いた書籍という意味でも珍しい本ではないでしょうか? 本文中からは時折、「創作物が完全なものになるよう手助けする援助者」である校正者の心の叫びのような部分もあり、編集という仕事に関わっている身としては、背筋が伸びる思いでした。

言葉と向き合うことに迷いのある私にとって強く印象に残ったのが、本文中で校正の役割のひとつ「言葉を整える」ことについて触れている部分でした。

生きている言葉には、さまざまな色合い、体温、手ざわりがあります。(中略)校正において、言葉を「整える」ということは、ある方向に言葉を導いていくことではありません。(中略)それぞれの言葉がもつ色合い、体温、手ざわりにどこまでも即すこと。それが、校正者にとって、言葉の真の姿に迫るもうひとつの重要な鍵です。

『校正のこころ』(第4章 言葉を「整える」という校正 P.54)

そのために校正者は著者や読者の視点でものを考えない、行間を読むようなことはしない、真摯に言葉と向き合うことが重要であり、そして言葉を信じながら疑うという相反する2つのまなざしが必要となる。なんとも禅問答のようですが、タイトルにある「積極的受け身」というはそういったことを指すようです。

校正はまだまだ奥深い。そして完璧も正解もない世界。その中でより言葉を生きた言葉にするために、次に校正をするときには、頭を切り換えながら複数の視点から言葉をみつめる、それができれば私ももう少しステップアップできるのではないでしょうか。

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