Interview:予感研究所ってなんですか?

2008年 12月 20日5:06 pm @ anonymous

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Interview:予感研究所ってなんですか?

2005年以来、2回目の開催となる「予感研究所」、今回は日本科学未来館の1階から7階まで各フロアに51点もの研究成果が展示されました。近未来的で 不思議な体験は、日本科学未来館を訪れた夏休み中の親子たちを夢中にしたようです。 しかし、そもそも「予感研究所」とはいったいどんな展覧会なのでしょう?

推進委員会のメンバーとして企画から携わっていた 東京大学大学院工学系研究科 特任研究員の常盤拓司さんに話を聞きました。

#Fairgroud( 以下Fg ) : 「予感研究所2」とはどんな展覧会なのですか?

常盤 : 予感研究所2は、独立行政法人 科学振興機構( 以下JST )戦略的創造研究推進事業( 以下CREST )の中にある「デジタルメディア」という研究領域の研究者が一堂に集まって研究成果を発表する場です。 日本科学未来館に研究成果を自ら展示し、小中学生に向けて自ら紹介するというのが大きな目的です。
なぜ、このような展示を行うのかというと理由はいくつかありますが、我われの研究というのは、新しいメディアを創出しようというのが大きな野望です。新しいメディアを創出することは、実験結果から生まれるものではなく、たくさんの人に見てもらったり、使ってもらったりするなかで本当の評価が決まるはずだと考えています。そのためにも、たくさんの人に触れてもらうための展示会をしなくてはいけません。
どうせ展示会を開催するのであれば、我われにとって一番いいかたちで見てもらえるところで行いたいと考えており、研究者本人が直接フィードバックを得られるように、自分でやるということが一番いいかたちだということになりました。

Fg : 確かに会場にはいろいろな作品がありますね。ただメディア・アートの
作品を展示しているというわけではないのでしょうか?

常盤 : メディア・アートは研究領域のほんの一部です。我われがめざしているのは新しいメディアそのものをつくることで、すでにあるメディアを利用することではありません。メディア・アートというのは既存のメディアを利用したアート活動なので、それとは異なるでしょう。
展示の中にはアート作品のかたちをとっているものもありますが、それは表現の仕方、伝え方の問題だと思っています。

Fg : 2005年に行われた第一回目の予感研究所も同じ会場でしたが、
「日本科学未来館」で開催していることに理由はあるのでしょうか?

常盤 : 第一回目が日本科学未来館で行われたのには今回とは違う理由があって、日本科学未来館というのは、JSTが管理している場所だということもあり、第一回目についてはここで開催することになりました。
前回の開催した時に感じたメリット、” 来館者の質が高い “ということに着目し、ここが最適だろうということになりました。

Fg :客層の” 質が高い “というのは?

常盤 :遊園地ではないにもかかわらず、子どもたちがたくさんいるということです。我われとしては子どもが来ることを一番重視しています。
なぜなら、大人はわかった顔をしてしまうでしょう? それを考えると子どもに研究成果を見せることは、もっとも厳しいベンチマークだからです。一番厳しいベンチマークを我われはあえてやっているのです。
だから前回は5月の連休に、そして今回は夏休みに開催したのです。

Fg : 実際、予感研究所に参加された研究者の方々の反応はいかがですか?

常盤 :端的にはカルチャーショックを受けます。
研究者に限らず、人は自己顕示欲があります。つまり自慢したい。でも、一般の人にはなかなか自慢をすることは難しく、そもそも理解してもらえることが少ない。
ところが、未来館での展示の場合、来館者はそもそも科学技術について興味を持っているので、一生懸命理解しようとする。 でも、( 興味をもってくれている )一般の人に研究内容について説明をするという経験は研究者はそれほど持っているわけではないので、最初どんなに一生懸命説明しても伝わりません。せっかく興味をもってくれている人、自慢してもいい人に対して、自慢できない状態になります。それを悔しいと感じ、説明の仕方を会期中毎日工夫するから,伝わった時にものすごくうれしく感じる。こうして会期中にどんどん説明の仕方が上手になっていく。そして、どんどん楽しくなっていきます。
正しく伝わると、研究内容の将来像やどんなことに有用かなど、研究者と来場者の対話の中で、研究者の思いつかなかったようなことが来場者からフィードバックされるようになる。
この体験は強烈なもので,研究者がどんどん対話に真剣になっていきます。研究者にとって展示がうれしいこと、楽しいことから、研究の最前線に変わるのです。
そして最後には、一般の研究者ではない人でも興味を持ってもらえ、伝われば理解してもらえるということがわかる。研究が難しいことで分野の専門家の間でしか伝わらないというのが先入観でしかなく、ちゃんと説明すれば伝わるものだと納得できるのです。

Fg : 今回は2回目ということでしたが、次回はあるのでしょうか?

常盤:僕個人の見解として、この規模の展覧会をこの領域として行うのは今回限りだと考えています。すでに一部の研究成果については、インターネットメディアなどを通じて、社会に訴求しはじめています。ですので、今後はこういう草の根的な動きが中心になるのではないかと思います( たとえば初音ミクのSuperisationや,ペコッパなど )。
一方で,地方での実施を望む来場者からの声もある。もし、なんらかのかたちで展覧会を実施することがあるとしたら、おそらく規模を縮小し、領域の研究成果のハイライト的なものを一定期間展示物として仕上げ、全国数カ所で展示するのがよいだろうと思います。 いずれにせよ、JSTの考えによります。

Fg : ありがとうございました! たくさんの研究者のみなさんと直接お話する
ことができ、楽しい時間を過ごすことができました。予感研究所のこれからにも
期待してます。

今回お話を聞いた常盤拓司さん ( 東京大学大学院工学系研究科 特任研究員( CRESTデジタルメディア領域松原仁チーム )